住宅ローンの変動金利はリスク大?【いや固定だってリスクあるよ】

住宅ローンの変動金利はリスク大?【いや固定だってリスクあるよ】

住宅ローンを借りるときに悩むのが「金利の選択」です。

変動金利にしようか、固定金利にしようか、悩みますよね?

あなたは迷いませんか?

私が不動産の営業を始めた当時、迷ったお客さんから「どっちがいいの?」とよく聞かれていました。

そんな質問に、私自身がかなり迷っていましたね・・・(笑)

十数年前の当時、仕事だったので、自分なりに解決しようと書籍や雑誌などで、金利をいろいろ調べました。

そこでわかったのは、変動金利に否定的な考えがいかに多いかということでした。

  • 「金利が急上昇したら危険!」
  • 「変動金利は借りすぎてしまうリスクがある!」
  • 「未払利息が出る危険の可能性がある!」

こんな否定的な言葉がズラリ。

今でもよく見かけますよね?

実はコレ、20年以上前からずっと言われてたことなんです。

これらの多くは、ファイナンシャルプランナーや住宅ジャーナリストとかの専門家が言っている言葉です。専門家と言われる人たちが言っているので、余計に信憑性があるように思えるんですよね。

ま、そんな感じだったので、若かりし当時の私も、変動金利ってリスクが大きいなーと当時は信じ込んでいたんです。

でも・・・

だんだん時が経つにつれ、変動金利はリスクが大きいとされることに疑念を持つようになりました。

だって、変動金利ってリスクが大きいと言われる割には、一向にその危険な状態が来ないんですから(笑)

それどころか、高い固定金利に苦しむ人の不動産売却(任意売却)の相談に乗るようになってから、逆に固定金利にもリスクがあるのでは?・・・と思うようになりました。

ちまたにあふれる変動金利のリスク、そして、語られることのない固定金利のリスク、私なりにまとめてみましたよ。

あなたの不安を解消するキッカケになれれば、幸いです。

変動金利と固定金利それぞれのリスク

変動金利と固定金利、それぞれのリスク

そもそも変動金利は「急」上昇するの?

変動金利には金利が上昇するかもしれないリスクがあります。

いわゆる「金利上昇リスク」ですね。

  • 変動金利は、金利が上昇したら、返済額が大幅に増えてしまい、未払利息が発生して危険!
  • でも、固定金利は金利が固定されているので、金利上昇の危険がなくて安心!

・・・という書籍やネット上で見かけるお馴染みの「金利上昇リスク」ですよ。

この「金利上昇リスク」、確かにある一部分では正しいとは思います。

例えば、借入残高が3000万円・返済期間35年・元利均等返済の時、金利が1%違うと、毎月の返済額は下記のように変わってきます。 

変動金利 毎月の返済額
1% 84,686円
2% 99,379円
3% 115,455円
4% 132,832円
5% 151,406円

こんな表、書籍やネットの記事でよく見かけます。 

普通、こんなの見たら、誰だって変動金利を怖く感じますよ。1%違うだけで、1万5千円〜2万円近く変わりますからね。

「1%金利が上昇したら、返済額が1万5千円も増えるのか。だったら固定の方が安心だね!」って、普通の人なら思うはずです。

ただ私は、この急激に変わる金利想定には、かなりの疑問を持っています。今時、変動金利って、こんな表のように急激に変わるのか?っていうことに。

少なくともこれまでの20年間、変動金利は一定の推移(2%台)で変わらずきたんですよ。

それが、ここ最近になって急激に変わることなんてありえるのかって。

変動金利は、日銀が決めている政策金利を指標としてるんですが、当然、日銀がこの政策金利を変更しない限り、変動金利は変わりません。

この政策金利って、景気が悪い時には下げて、景気が良い時には上げることで、日銀がコントロールしているんですよ。

このご時世を見ても、これから景気が大幅によくなりそうな感じって、私にはあんまり実感できません。

近い将来、東京オリンピックが開催されるにも関わらず、景気よくなっているように思えないのです。(一部の人は潤っているのかもしれませんが・・・)

だから、変動金利が急上昇することなんてないと思うんです。もちろん、私の本音では、日本経済の未来は明るくなって、景気はよくなって欲しいとは思っています。

ただそうであっても、近い将来、金利が急上昇するようには思えなく、金利が上がるとしても、緩やかに上がっていく程度なんじゃないかと私は思うんですね。

そもそも金利が上がる経済情勢って?

金利が上がる経済情勢って、分かりやすく言うと景気が良い時です。

モノが売れて、企業が潤って、株価も上昇し、給料も上がって、国民全体の消費が進み、さらにまたモノが売れていくって状況です。

お金の循環が非常にいい状態、つまりお金がジャンジャン使える状態のことです。

昔でいうところ、高度経済成長期やバブル時代ですよ。子供もたくさん生まれて成長して、住宅もドンドン立っていた時代です。

高度経済成長期は私は知りませんけども、バブルの頃は学生だったので、それとなくいい雰囲気を感じていました。バブルの頃の普通預金金利は2%、定期預金なんかだと6%です。6%のこんな元本保証のある利回りのいい金融商品、今どきありませんね。

つまり、これほどまでのお金ジャンジャンの状態になって、初めて好景気って言えるんです。景気が良すぎるので、日銀が『ちょっと加熱気味じゃないか」と判断し、景気の熱を下げるために金利を上げてコントロールしようとするんです。

裏を返すと、それほどまでにいい経済情勢がなければ、日銀は金利を大幅に上げられないんですよ。

今、日本経済にお金がジャンジャン循環して、回っていると思うなら、金利が急上昇する可能性が高いです。でも、残念ながら私には、バブルの頃のように、お金がグルグル回っているようには思えません。

大手企業なんて、一部の企業を除けば、コスト削減で利益を出そうとして必死ですから。企業の多くは派遣社員を採用している実態を見れば、一目瞭然。お金がだぶついているなら、派遣社員なんて使わず、正社員を雇うはずじゃないですか?

これから、子供の数はどんどん少なくなり、地方では住宅がバンバン立つどころか、空き家がどんどん増えている状況です。

そのほか、列島各地で天災が相次いでいます。地方のダメージってかなり大きいんですからね。

復興が急がれる中で、今もし、日銀が金利を上げれば、ますます消費が冷え切って、景気が悪くなるだけです。景気が悪いまま、金利だけが上がるなんて不可思議な現象、まず起きません。

こういうことを踏まえると、金利が急激に上昇するリスクって、それほどないとわかるはずです。

変動と固定それぞれのリスク

変動金利は、金利が上昇すれば、返済額が増えるリスク(利息負担)を負います。もし金利が上昇しなければ、返済額が増えるリスク(利息負担)は負いません。

一方で、固定金利は、金利が上昇しても返済額が増えない代わりに、高い固定金利を選んでいるので、借り入れ初期に返済額が多いリスク(利息負担)を負っているのです。

変動金利と固定金利のリスク(利息負担)の違いは、返済額と内訳を見れば一目瞭然。

前提条件

  • 借入金:3000万円
  • 返済期間:35年・返済方法:元利均等返済
  • 変動金利(適用金利):0.625%
  • 固定金利(35年全期間):1.62%
  毎月の返済額
変動金利(0.625%) 79,544円
固定金利(1.62%) 93,629円

毎月の返済額は、1万円ちょっと、固定金利の方が多いですね。

なお、第1回目の利息と元金を比べると、以下の通りです。

  利息 元金
変動金利(0.625%) 15,625円 63,919円
固定金利(1.62%) 40,500円 53,129円

利息の支払額は、変動金利より固定金利の方が多いです。一方、元金の返済額は、固定金利よりの変動金利方が多いです。

これって、何を意味しているのかといえば、固定金利は変動金利よりも、余分なお金(利息)を払っているけど、元金返済は思うように進まないということです。

40,500円(固定金利)ー15,625円(変動金利)=25,875円(第1回目の利息差額)

第1回目の利息差額は、固定金利のほうが25,875円だけ多いわけですね。言うなれば、固定金利を選んで、金利上昇リスクを回避するための保険代ともとれます。

なお、第1回支払い後の借入残高は以下の通り。

  第1回支払い後の借入残高
変動金利(0.625%) 29,936,081円
固定金利(1.62%) 29,946,871円

第1回目の借り入れ残高の差額はたった10,790円です。でも、返済回数が進むにつれて変動金利の方が元金の減りが早いです。その分、支払う利息額もどんどん少なくなっていきます。

固定金利は金利上昇リスクを避けるため、借り始めから、返済額が増えるリスク(利息負担)を負っています。そしてさらに、借入元金がなかなか減らないリスクも負っているのです。

35年間でみる変動金利と固定金利の返済総額の比較

変動金利がずっと変わらないという前提で、35年間の返済総額の比較をしてみます。

前提条件(先ほどと同じ) 

  • 借入残高:3000万円
  • 返済期間:35年・返済方法:元利均等返済
  • 変動金利(適用金利):0.625%
  • 固定金利(35年全期間):1.62%
  利息の支払総額 返済総額
変動金利(0.625%) 3,408,564円 33,408,564円
固定金利(1.62%) 9,324,161円 39,324,161円

35年間で支払利息の差額(9,324,161円ー3,408,564円)はなんと590万円です。金利が1%変わるだけでこんなに大きな違いが出るんですから、ほんとすごいですね。

35年で考えると、金利上昇リスクを避けるための590万円という金額がいかに大きいものかがわかります。

過去の金利から実感できる利息負担リスク

過去の事例から実感できる金利負担リスク

2012年の日本経済新聞で検証

2012年2月1日付の日本経済新聞の記事を参考にして、検証してみます。

一般に固定金利型よりも変動金利型のほうが返済金利は低い。例えばみずほ銀行の住宅ローンは現在、変動金利型が年0.875~1.275%、35年間の全期間固定金利型は年2.40%だ。

低金利「固定」で安心 住宅ローン活用術(上) 「変動」上昇後は注意、返済計画の熟考を

35年間で実感する変動と固定の利息負担

記事にある変動金利と固定金利から、以下の条件で、35年間の返済総額の比較をしてみます。(変動金利がずっと変わらない前提です。)

前提条件

  • 借入金:3000万円
  • 返済期間:35年・返済方法:元利均等返済
  • 変動金利(適用金利):0.875%
  • 固定金利(35年全期間):2.40%
  月額返済額 利息の支払総額 返済総額
変動金利 82,949円 4,838,708円 34,838,708円
固定金利 105,647円 14,371,887円 44,371,887円

利息の差額だけで950万円です。もし変動金利が35年間変わらなければ、こんなに差が生まれてしまうんですよ。950万円って、中古のワンルームマンションが買える金額です(笑)

7年間の利息負担を検証

前項では35年間の返済総額の比較をみましたが、2012年2月からの7年間だけの利息だけでも比較してみます。

なお、2012年から今(2019年2月現在)までの7年間、変動金利ずっと変わっていません。

  利息の支払総額(7年間) 支払総額(7年間)
変動金利 1,679,116円 6,967,742円
固定金利 4,703,621円 8,874,377円

この7年間だけで、利息の差額は300万円です。金額、大きくないですか?

車1台買える金額です!

えっ? 金利上昇リスクがなくせれば、安いもんだって?

それなら仕方ありませんね(笑)

借り換えでシュミレーション

今度は、2019年2月現在で、先ほどの固定金利(2.40%)から変動金利(0.825%)への借り換えをシュミレーションしてみます。(変動金利がずっと変わらない前提です。)

前提条件

  • 大手都市銀行で借り換え
  • 返済年数:28年・返済方法:元利均等返済
  • 変動金利(適用金利):0.625%+0.2%(保証料は金利込み)=0.825%
  • 諸費用は借入金に含める

2019年2月現在で、借り換え前の残高は、25,829,244円です。

登録免許税 104,343円
印紙代 20,000円
事務手数料 32,400円
司法書士報酬 100,000円
諸費用合計 256,743円

借入合計金額: 26,085,987円(借り換え前残高+諸費用合計)

この借入金額で28年間、変動金利(0.625%)で支払うと、次の通りです。

28年間の支払総額

28年間の利息総額 28年間の返済総額
3,137,753円 29,223,740円

28年間の返済総額は29,223,740円です。

借り換え前と、借り換え後の返済総額を足してみますね。

6,967,742円(前)+29,223,740円(後)=36,191,482円(7年後に借り換えした場合の返済総額)

もし借り換えしなかったら、35年間の返済総額は44,371,887円(35年間、固定金利2.4%の場合の返済総額)

44,371,887円ー36,191,482円=8,180,405円

借り換えするだけで818万円、浮くんですよ。借り換えで得られる金額、大きくないですか?

不安をなくすためだけの掛け捨て保険代と見ても、かなり高すぎませんか?

えっ? 変動金利のドキドキ感は嫌だから、そのままでいい?

なら仕方ありませんね(笑)

もし変動金利が上昇したら・・

もし変動金利が上昇したら・・

変動金利が上昇した時の対処は?

私の考えを言えば、状況を冷静に見極めてその時になって対処すればいいと思っています。

変動金利が上昇し、固定金利へ変更したくなったら、銀行に変更の申し込みすればいいだけのことです。固定金利への切り替えはいつだってできますからね。

もっとも、変動金利が上がれば、固定金利も上がっているので、普通なら、あえて高い固定を選ぼうと思わないはずです。

もちろん、変動金利が上がっても、返済自体に支障がなければ、そのまま続ければいいわけです。

仮に変動金利が急上昇しても、固定金利を上回った段階で、その時点で固定金利へ切り替えれば、特に問題はないかと思います。

先ほど書きましたが、変動金利は金利が低いため、固定金利に比べて元本返済が進みます。

変動金利のメリットは、元本返済が進むことで金利上昇リスクに備えられる点です。なので、さほど心配する必要はありません。

もし金利が急上昇する事態が仮に起こったとしても、変動金利には返済額は125%ルールがありますので、大幅に返済額が増えることはありません。

収入が大幅になくならない限り、直前の返済額の125%までなら十分対処することはできるはずです。

さらに、もし金利がものすごい急上昇する事態が起こって、予想を超える返済額になったしまったなら・・・

その時は、腹を括って、副業して、収入をあげればいいじゃないかって話です。昔と違い、自宅にいながらパソコンでできる副業なんていくらでもありますからね。

そもそも金利が急上昇するって好景気の時に起こりますから、給料だって大幅にアップしているはずです。

あなただけの給料が変わっていなければ、好景気なら、転職で採用してくれる企業はいっぱいあるはずじゃないかと思いますね。

というわけで、金利が仮に上昇することがあっても、いくらでも対処法はありますので、そんなに心配する必要はないと私は思います。

変動金利上昇シュミレーション

心配なあなたのために、変動金利の上昇シュミレーションをしてみましたよ。

前提条件(先ほどと同じ)

  • 借入残高:3000万円
  • 返済期間:35年・返済方法:元利均等返済
  • 変動金利(適用金利):0.625%(通期引下げ・店頭金利2.475%・引き下げ1.85%)

5年ごとに0.25%ずつ上がる想定です。

  金利 月額返済額
1~5年 0.625% 79,544円
6~10年 0.875% 82,475円
11~15年 1.125% 84,989円
16~20年 1.375% 87,057円
21~25年 1.625% 88,649円
26~30年 1.875% 89,739円
31~35年 2.125% 90,301円
利息の支払総額 返済総額
6,165,224円 36,165,224円

先ほどの35年全期間固定金利1.62%で試算した時には、利息総額は932万円

一方、金利が5年ごとに0.25%ずつ緩やかに上昇した想定では、利息総額は616万円です。

差し引き、316万円

変動金利(適用金利)が2.125%まで上昇しても、固定金利1.62%の利息総額の方が多いんですからね。

金利上昇が緩やかに起こっても、変動金利の場合、借入当初に返済が進むことで、後々の金利が上がっても、負担がそれほど増えないことが、ホントよくわかります。

30年後の返済金額だって、毎月9万円ちょっとです。1万円くらいなら増えても返せそうじゃないですか?

もちろん、金利上昇はタイミングにもよりますので、このシュミレーションだけで予測できるわけではありませんよ。

ただ、それでも、今の経済情勢を踏まえると、急激には起こらないけど、このくらいの緩やかな上昇は、現実的に起こっても別にいいじゃないのかと、個人的には思っています。

ちなみに、31〜35年目の適用金利は、店頭金利だと3.975%。バブル崩壊直後の金利です。この金利額なら相当景気がよくなっているはずですよ。

30年後に景気がよくなっても、無理なく返済できることがよくわかりますね。

結局、変動にも固定にもリスクはある

結局、変動にも固定にもリスクはある

結局、変動金利にも固定金利にも、それぞれにリスクがあるわけなんですね。

そのリスクとは、

  • 「将来、金利が上昇するかもしれないというリスク」
  • 「金利が高いことによる利息負担というリスク」

です。

変動金利は「将来、金利が上昇するかもしれないというリスク」があります。それは借入した時に、見えない潜在的なリスクといえます。

一方、固定金利は、「将来、金利が上昇するかもしれないというリスク」は避けられます。しかし、借り始めに元金が減らないので「金利が高いことによる利息負担というリスク」が発生しています。つまり、高い利息の支払というリスクが顕在化していると言えるわけです。

どちらのリスクを選ぶかは、個々人の人生観や人生設計に関わってくるのかと思います。将来、好景気に湧く可能性があると考え、長期にわたった不安は嫌だとかいったことなど、人によって重視するものは変わりますから。

どっちのリスクを避けたいのかも、当然、個々人の自由ですよ。

なお、それでも今の経済情勢を踏まえると、一般的に言われる変動金利のリスクよりも、固定金利のリスクの方が大きいように見えるのは、私だけでしょうか?

私なんかからすると、長期の固定金利を選択する人をみると、不思議に思うんですよね。

「将来、金利が上がるのが嫌なはずなのに、なぜあえて最初から自ら金利をあげてしまっているのだろう」

ってね(笑)

今の経済情勢から踏まえても、変動金利が急上昇する可能性って少ないですし、毎月の返済金額が高い長期固定で借りている人の方が、返済負担率が高いから、逆にローン破綻のリスクって高いように思えるのですがね・・・。

もちろん、繰り返し言いますが、どの金利を選ぶかはあなたの自由なので。

あなたの不安の解消に役立てれば幸いです。

住宅ローンの変動金利なんて全然怖くないね住宅ローンの変動金利なんて全然怖くないね【悩む時間がもったいない】