住宅ローンの借入可能額はどう決まる?【年収別にまとめてみた】

住宅ローンの借入可能額はどう決まる?

こんにちは。元・不動産営業のてつです。

  • 住宅ローンを借りたいけど、いくら借りられるのかな?
  • 低金利の今だから、いっぱい借りられるの?

こんな不安な気持ちを抱えながら、住宅ローンを借りることに心配していませんか?

私が不動産営業の仕事をしていた頃、お客さんからも

お客さん

「ウチの収入だと、どれくらい借りられますか?」

って、よく聞かれてましたからね。

お客さんの多くは勉強熱心で、ブレない程度に借入可能額を把握しています。でも、中には、一番低い適用金利で計算し、借入金額を年収の10倍で想定している方もいらっしゃいます・・・。

借入可能額を多めに見積もっているお客さんに、私が大手銀行での想定借入可能額を伝えたら、ショックを受けてましたね。

お客さん

えっ!それだけしか借りれないの?

物件を内見する前に借入可能額がきちんとわかっていれば、お客さんも、辛い気持ちにはならなかったはずですね。

そこで、そんなつらいショックを受けないように、住宅ローンの借入可能額がどうやって決まるかを、記事としてまとめました。

なお、以下の説明は、基本的にはサラリーマン・公務員などを想定しています。個人事業主や経営者は、リスクが高い属性なので、当てはまりませんのでご注意を!

また、借入可能金額は、収入や勤務状況・他の借入などの条件を総合的に判断し、各金融機関の審査の上で決まります。一定の条件を満たしても、借りられらないことも多々あります。その点はあらかじめご理解ください。

あなたの住宅ローン借り入れ・借り換えの参考にお役に立てれば幸いです。

そもそも借入可能額どうやって決まる?

そもそも借入可能額どうやって決まる?

借入可能額を決める3つのポイント

一般的に、銀行が住宅ローンを貸す時って、年収から年間ローン返済額を計算し、各々の銀行独自の審査金利で借入可能額を決めています。

借入可能額を決めるポイントは3つ。

  • 年収
  • 返済負担率
  • 審査金利

年収はわかりますよね? 源泉徴収票にある税込収入です。

わかりにくいのが、「返済負担率」「審査金利」です。以下説明しますね。

返済負担率

返済負担率とは、年収に占める1年間の住宅ローン返済額の割合です。この返済負担率、銀行によって異なります。

某大手銀行【年収別の返済負担率】

年収 返済負担率
300万円未満 30%
300〜400万円 35%
400万円以上 40%

フラット35【年収別の返済負担率】

年収 返済負担率
400万円未満  30%
400万円以上 35%

この返済負担率っていうのは、年間のローン返済額を出すためのものです。

例えば、年収が400万円で返済負担率35%の場合、住宅ローンの年間返済額は400万円×35%=140万円になります。

年収に関わらず返済負担率40%で一律にしている銀行もあれば、年収別に返済負担率を分けている銀行もあります。

審査金利

審査金利は、銀行が融資金額(借入可能額)を決める際の金利です。実際に借りる時の適用金利よりも高いです。

だいたい3.5〜4%くらいです。銀行によっては3%台前半のところもありますよ。

返済負担率と同様、審査金利も各々の銀行によっては変わってきます。なお、今後金利が上昇すれば、審査金利も上昇する可能性があります。

具体例で借入可能額を計算してみる

具体例で考えてみます。

  • 年収:500万円
  • 返済期間:35年・元利均等返済
  • 返済負担率:35%・審査金利:4%

この前提で考えると、以下のようになります。

年収500万円×返済負担率35%=175万円(←年間の住宅ローン返済額

175万円÷12ヶ月=14万5833円(←毎月の住宅ローン返済金額

これを審査金利4%で計算すると・・・

借入可能金額は「3293万円」になります。

こんな感じで、審査金利と返済負担率によって、住宅ローンの借入可能額が決まるのです。

なお、以下のサイトでも、返済負担率・審査金利などを入力して計算すれば、同じように借入可能金額が試算できますよ。

参考 借入可能額の試算(年収より算出)住宅ローンシュミレーション・住宅保証機構

審査金利が高いのはなぜ?

審査金利が高めなのはなぜ?

審査金利が高い理由

審査金利が高いのは、金利が上昇した時に、銀行の財務状況が悪化せずに、余裕を持って対処できるようにしているためです。

もし、適用金利のような低い金利で借入をしたら、余裕がないので返済プランが厳しくなります。

先ほどの条件で、審査金利を変動金利(適用金利:0.625%)に変えて、試算してみますね。

  • 年収:500万円
  • 返済期間:35年・元利均等返済
  • 返済負担率:35%
  • 審査金利:変動金利(適用金利)の0.625%(店頭金利:2.475%  引き下げ幅:1.85%)

この時、借入可能額はなんと「6285万円」になってしまいます。さっきの倍近くありますね(笑)

金額だけ見ても多額の借入しているとわかります。

仮に将来、金利が上昇したら、返済額5年据え置きの変動金利であっても、返済金額が125%になると、返済負担率35%を超えてしまうため、家計の収支はかなり苦しくなります。

もちろん、金利が上昇する状況は、景気が良くなる状況とも取れます。そうなると、収入が上がっていることも想定できますから、問題ないようにも思えます。しかし、全く余裕が支払いは、心理的にかなり追い込まれます。

はっきり言って、返済不能(デフォルト)になってしまう可能性が高いんです。

いうまでもなく、返済に余裕がない金額で借入を実行するのは、銀行にとってリスクを避けたいのです。銀行は健全な事業運営をしたいのですからね。

だから、あらかじめ金利が上昇しても余裕を持って対処できるように、銀行は高めの審査金利を採用し、融資金額(借入可能額)を決めているのです。

高い審査金利だけど裏から見れば・・・

高い審査金利で借入可能額が決まると、変動金利(適用金利)で借りる場合、返済負担率ってすごく低くなることがわかります。

  • 年収:500万円
  • 返済期間:35年・元利均等返済
  • 返済負担率:35%・審査金利:4%
  • 変動金利(適用金利):0.625%(店頭金利2.475% 引き下げ1.85%)

審査金利は4%で「3293万円」を借りる場合を想定します。

変動金利(適用金利)0.625%だと、毎月の返済額は8.7万円で年間ローン返済額は104.8万円です。

この年間返済額だと、返済負担率は「20%」です。

普通、返済負担率が25%くらいなら、余裕がある返済といわれていますので、ローンの支払いにかなり余裕があることがわかります。

このくらいの返済負担率であれば、銀行だって「返済に余裕があるから大丈夫」と考えているレベルのはずです。

さらには、将来金利が上昇しても、審査金利4%で返済を前提に融資しているので大きな問題は発生しません。金利が0.625%→4%に上がったとしても、きちんと返済できると銀行は見立てているわけですね。

ちなみに、適用金利が4%って、店頭金利だと5.85%。店頭金利が5.85%って、かなり景気のいい時期の金利ですよ。

というわけで、銀行は審査金利を高めにしておくことで、ローン返済が難しくなる事態を事前に防いでいるのです。

年収別の借入可能額の目安

年収別の借入可能額の目安

年収別に借入可能額をまとめてみました。以下、前提条件です。

前提条件

  • 勤務形態:サラリーマンや公務員 返済期間:35年(元利均等返済)
  • 他に借入(自動車やカードローンなど):なし

なお、年収の高低や各銀行の審査金利・返済負担率によって大きく変わってきます。あくまで1つの参考目安です。

審査金利3.5%・返済負担率35%で試算

年収 借入可能額
300万円 2,117万円
400万円 2,822万円
500万円 3,528万円
600万円 4,234万円
700万円 4,940万円
800万円 5,645万円

審査金利4%・返済負担率35%で試算

年収 借入可能額
300万円 1,976万円
400万円 2,634万円
500万円 3,293万円
600万円 3,952万円
700万円 4,611万円
800万円 5,269万円

年収別の借入可能額の目安のまとめ

どうです? 意外に思ったほど借りられるんじゃないでしょうか?

え? もっと借りたい?

それならフラット35しかありませんね。フラットでジャンジャン借りちゃってくださいなー(笑)

MEMO

フラット35の場合、審査金利を適用金利でみなし、借入可能額が決まります。

借入可能額をもっと増やしたい方は「フラット35」に申し込みする対処法が考えられます。

審査金利で計算していない借入可能額は意味がない

意味ある?

よくネット上の情報には、年間ローン返済額を20〜25%に抑え、適用金利で借入可能額を計算しているケースがあります。

「余裕をもって返済するなら、このくらいの金額が好ましいです!」

って専門家が言う、アレですね。

確かに余裕がある返済プランで、借入可能額を考えることは大事なんです。

ただですね、はっきり言って、借入可能額をそのものを知りたいときには、全く意味はないです。だって、実際の借入金額を決めるのって、融資をする銀行自身に他なりませんからね。

少なくとも、大手銀行では、住宅ローン事前申込段階では、「審査金利」で借入返済額を決めているのですから。

自分が返せる余裕ある返済率で計算し、住宅ローンを返せる強気の自信があっても、融資金額(借入可能額)を決めるのは他ならぬ銀行自身なのです。

だから、どれくらい借りられるのか把握するときは、まず審査金利で考える必要があります。余裕ある返済計画をたてるのは、審査金利で借入可能額がわかった、そのあとです。

審査金利でわかる変動金利への誤解

審査金利でわかる変動金利への誤解

変動金利は借りすぎの危険?

ある住宅ローンの本には、以下のような文言が書いてあります。

「1%以下の変動金利は借りすぎの危険!」

ここまでご覧いただいたあなたは、お分かりですよね? これが間違っているということに!

この文言が正しいのなら、住宅ローンを借りた後、変動金利から固定金利に切り替えることができなくなります。

上記の「変動金利は借りすぎの危険」って文言、固定よりも変動の方が多額のローンが組めることを言っているのですが、このとき、もし変動から固定に切替えたら、返済はもっとキツくなります。だって、変動よりも固定の方が金利が高く、毎月のローン返済金額、増えますからね。

金利が上昇すると思って、固定金利に変更したかったのに、もし銀行から

「あなたは変動金利で限度額いっぱいまで借りすぎてちゃっています。固定には変更できません。」

と言われたら、金利は永久的に変動金利のままですよ(笑)

果たして、そんなことって起こりうるでしょうか? 

メガバンクなどのHPには、変動金利から固定金利の切り替えは、いつでもできる文言が書かれていますからね!

もし仮に、金利が切り替えできたとしても、ローン返済が苦しくなる状況を、銀行は黙って見過ごすでしょうか?

そんなこと、普通ありえませんよね?

変動の方が固定よりも限度額いっぱいまで、借りられちゃいますよーって言っていることが明らかにおかしいことがわかります。

銀行は審査金利でリスクを織り込んでいる

銀行は融資する際に、変動→固定(または固定→変動)への切り替えを織り込んで、余裕を持って最初から借入金額を決めているんです。だから、借入期間中、金利切り替えの申込を受け付けてくれるんですよ。

銀行が審査金利で借入可能額を決めているのがわかっていれば、「変動金利は借りすぎの危険」なんて言葉は出てきません。

繰り返しになりますが、借入可能額を決めているのは、銀行独自の審査金利です。少なくとも大手銀行では独自の審査金利で借入可能額を決めています。

普通の銀行だったら、適宜、金利タイプ(変動→固定)の変更って、申込を受け付けてくれるはずですから。

あ、でも一応念のため、借り入れ・借り換え前には、金利の切り替えができるかどうか、必ず銀行に聞いてください。限度額いっぱいまで、変動金利(適用金利)で審査している銀行、もしかしたらあるかもしれませんからね(笑)

ちなみに、もし金利タイプ変更ができないなら、その銀行はやめたほうがいいです。だって、変動金利(適用金利)で融資額を決めてる銀行なんて、金利上昇リスクを甘く見すぎている危険な銀行ですから(笑)

住宅ローンの借入可能額はどう決まる?のまとめ

住宅ローンの借入可能額はどう決まる?のまとめ

住宅ローンの借入可能額が決まる仕組み、わかってもらえましたでしょうか?

きちんとわかれば、物件購入金額の目安がわかり、借り換えにも不安がなくなると思います。

そして、専門家の言葉にも騙されることはないかと!(笑)

なお、本記事で説明してきた「審査金利」「返済負担率」については、銀行の審査事項に関わることなので、銀行に尋ねても答えてもらえないことも多いです。その点はあらかじめご理解ください。

また、冒頭でお伝えしましたが、実際の借入可能額は個人の属性などによっても大きく変わってきます。

本記事はあくまで参考の目安としてくださいね。実際の借入可能額は、やはり銀行に借入申込をして確認することが一番ですから。

実際にネット銀行に申し込んでみたら、

「えっ?こんなに借りれたの?」

なんてこともよくありますからね!

よき住宅ローンの借り入れ、借り換えを実現していただければと思います。